Monthly News in June 2021

今年のフィンランドの6月は例年になく好天が続き、気温も高く、人々も夏を満喫している様子がうかがえます。ワクチン接種者(一回目)も6月半ばの時点で全住民の半分を超え、毎日の新規感染者数もぐっと減り、入国規制を緩和する議論も出てくるようになりました。

また6月はフィンランドにとってスポーツのイベントが目白押しであり、アイスホッケーの世界選手権ではフィンランド代表が準優勝となり、サッカーでもヨーロッパ選手権にフィンランドが初めて出場しました。6月12日に行われたデンマーク代表との記念すべき第一戦は相手チーム選手の一人が試合中に突然倒れてしまい、2時間試合が中断されるというアクシデントに見舞われましたが、選手は一命をとりとめ、フィンランド代表は1-0で試合に勝利し、フィンランド中でお祭り騒ぎとなりました。フィンランド人の多くが、自国代表が一勝もできないと予想していたので、ひときわ嬉しい結果となったようです。

 

  • 首相の朝食スキャンダル

 

現在のフィンランドの首相は、社会民主党党首で35歳の女性、サンナ・マリンですが、6月13日の統一地方選挙の3週間前に首相官邸での朝食をめぐるスキャンダルがタブロイド紙に報じられました。

最初の報道では、首相官邸に住む首相一家が朝食のために毎月300ユーロ(約4万円)の手当てを受けている、というものでした。これにかかわる領収書が公開されていないということで、内閣官房が調査したところ、毎月850ユーロ(約11万3000円)が支給されていることがわかりました。

この額は一国の首脳に支給される朝食代としてはそこまで高いものではなく、歴代首相にもこれまで支払われてきたものであったため、マリン首相に落ち度があるわけではありません。ですが、マリン首相が清廉潔白な若い女性というイメージを押し出し、コロナ禍における財政状況悪化ゆえに増税をこれから行うことを明言しており、さらに、この手当てが公開されていなかったということもあって、大きな批判を浴びてしまいました。

マリン首相率いる政府は、昨年はコロナ対策を上手くやっていたため高い支持率を維持してきましたが、昨年冬からの長いコロナ規制と国境での水際対策を厳しくできなかったことから支持率を失ってしまいました。それにこのスキャンダルもあってか、6月12日の統一地方選挙では野党に敗れる形となってしまいました。

現在の政府は社会民主党を第一党とする中道と左派の5つの政党の連立政権として2019年6月に発足しましたが、支持率低下を受けて2019年12月に若い女性党首に様変わりして持ち直した政府でした。フィンランド国営放送調査では、マリン政府が誕生する前の社会民主党は支持率13,2%で、野党第一党の24,3%、野党第二党の18,6%、与党第三党の13,9%に及ばない第四位の支持率でしたが、マリンの首相就任とコロナ対策により、第一波が過ぎた2020年6月には社会民主党は支持率23,2%のトップに躍り出ました。ところが、2020年12月には再度支持率で野党第一党に抜かれ、2021年6月の調査では支持率17,0%の第三位にまで落ち込んでしまっています。

 

  • フィンランド・サッカー代表

 

ヨーロッパのサッカーの代表チームでは、多様な出自を持つ選手が多いですが、比較的移民の数が多くないフィンランドも例外ではありません。代表選手の多くがいわゆる、フィンランド語を話すフィンランド人の選手ですが、主将のスパルヴ選手はスウェーデン語系フィンランド人で、ゴールキーパーのフラデツキー選手はスロヴァキアからの移民というバックグラウンドを持つ選手です。他にもロシア系・アイルランド系・オランダ系・ドイツ系のフィンランド人の選手がいます。

ヨーロッパ以外では、アジア系のバックグラウンドを持つ代表選手はまだ出てきていませんが、代表チームの中心の一人であるグレン・カマラ選手は、一家がアフリカのシレラ・レオネからフィンランドに逃れてきたというバックグラウンドを持っています。

ヨーロッパのサッカー強豪国では、移民・難民という背景を持ったスター選手がすでに数多くいますが、1980年代末からそのような移民・難民を受け入れ始めたフィンランドではようやく10代・20代の選手が出てくるようになった、という段階です。

2019年末の時点で、フィンランドにおいて公用語であるフィンランド語・スウェーデン語と少数言語であるサーミ語以外の言葉を母語とする住民の割合は7,5%であり、この割合は年々増え続けており、2009年末には20万人を少し超えるほどであったのが、2019年末には40万人を超えました。圧倒的一位はロシア語話者(80,000人以上)で、二位はエストニア語話者(50,000人近く)、三位はアラビア語、四位は英語、五位はソマリア語、となっています。

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